「○○○、悪に屈するというのは、何を持ってそうだと決めると思う?」
「うーん…たたかいに負けること…じゃないんだよね?」
「そうだ。
それは原因の一つであって、決定付けるものではない。私はこう教わったよ。
『それは怒り、憎しみに呑まれ、心が怨嗟に染まった時』だとね。
もし、その者が戦いに勝利したとしても、その剣は既に忌むべき悪と同質のものでしかないだろう。
絶望…怒り…憎しみ…悪というものは心から心へと燃え広がるものなのだ。…そう、まるで戦火の様に。
○○○、何があっても忘れるな。剣は如何なる時も、悲しみの心によって、振るわれるべきなのだ」
No.02
全自動消防消火災害救助システム
-鬼魂号-
幻獣と人類の和平をもって、この機体は建造された。
我らは永久に平和が続くを願う。
我らは永久に悲しみが慰撫されるを願う。
この機体を使う者が、愛と勇気で、全ての戦火を阻止するのを願う。
我らはここに、7つの世界の総意として、この機体を後の世に残す。
願わくばこれを読む全ての者に、勇気が沸き上がらんことを。
他者のために振るわれる勇気が、心の底より沸き上がることを。
「あんたのすることの全ては正しく、あんたのすることの全てには意味がある。
誰もあんたを非難できないし、誰もあんたを否定することはできない。
あんたが自分をどう思ってるかは知らないけど、あたしはこう思ってる。
だから、あんたが次にみっともない面したら躊躇いなく撃つよ。」
「八方に伸びる道と書いて「迷う」と言う文字になる。
しかし実際に迷っている人間は、そもそも道が八本もあることに気がついていない事が多い。
考えても見ろ。地図が全部頭に入っていて迷う奴がいるか?
迷う奴ってのはそもそも道自体が見えてないんだ。
これは道だけでなく、人の行動や人生についても言えると僕は考えているんだが、君はどう思う?
僕としては中々上手い事を言ったつもりなんだけれど」
「地図のページを間違えた人間の言い訳にしちゃ上出来だ。取り合えず表に出ろこの野郎」
「そうだよ。
でも、だからこそ、現実にしたいじゃない。
ホントは、綺麗事がいいんだもん。」
それと世の中を見渡してみると本当に『強い』人っていうのは悪い事はしない事に気づく。
「悪い事をする敵」というものは「心に弱さ」を持った人である、真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ。
立法者にしろ革命家にしろ、平等と自由とを同時に約束する者は、空想家か、さもなくば山師だ。
…それは自由と言う事は、仕事をするのもしないのも自由だと言う事だから…
「○○、この花瓶という文化について、私は些か感心できません。
自分の勝手な都合で傷つけ、生殺にし、見世物にしている。そうでしょう?
そう…言うなれば、これは晒し首に近い。
まあ、美しいから飾る……という行為の意味を考えれば、この例えは適切とは言えないのでしょうけどね」
「見事な引き際だな」
「隊長、追撃しますか?」
「慌てるな、次も敵とは限らんだろう」
「こないな時代やと人生は絶え間なく連続した問題集や。
揃って複雑。選択肢は酷薄。加えて制限時間まである。
一番最低なんは、夢みたいな解法待って何ひとつ選ばない事や。
オロオロしてる間に全部おじゃん。一人も救えへん。
……選ばなアカンねや!!
一人も殺せん奴に1人も救えるもんかい。
ワシらは神さまと違うねん。万能やないだけ鬼にもならなアカン……」
「………○○○…でもやっぱりそれは言葉だ。
今そこで人が死のうとしてる。僕にはその方が重い」