…聞く者しだいで形を変える不定形な、心を迷わす言葉。

No.01

 「○○○、悪に屈するというのは、何を持ってそうだと決めると思う?」
 「うーん…たたかいに負けること…じゃないんだよね?」
 「そうだ。
  それは原因の一つであって、決定付けるものではない。私はこう教わったよ。

  『それは怒り、憎しみに呑まれ、心が怨嗟に染まった時』だとね。

  もし、その者が戦いに勝利したとしても、その剣は既に忌むべき悪と同質のものでしかないだろう。
  絶望…怒り…憎しみ…悪というものは心から心へと燃え広がるものなのだ。…そう、まるで戦火の様に。
  ○○○、何があっても忘れるな。剣は如何なる時も、悲しみの心によって、振るわれるべきなのだ」

― 老猫と幼き王の会話

No.02

全自動消防消火災害救助システム
-鬼魂号-

 幻獣と人類の和平をもって、この機体は建造された。
 我らは永久に平和が続くを願う。
 我らは永久に悲しみが慰撫されるを願う。
 この機体を使う者が、愛と勇気で、全ての戦火を阻止するのを願う。
 我らはここに、7つの世界の総意として、この機体を後の世に残す。
 願わくばこれを読む全ての者に、勇気が沸き上がらんことを。
 他者のために振るわれる勇気が、心の底より沸き上がることを。

― 確かに想いは届いたという証明が、今ここにある

No.03

 「あんたのすることの全ては正しく、あんたのすることの全てには意味がある。
  誰もあんたを非難できないし、誰もあんたを否定することはできない。
  あんたが自分をどう思ってるかは知らないけど、あたしはこう思ってる。
  だから、あんたが次にみっともない面したら躊躇いなく撃つよ。」

― 魚辺圭

No.04

 「八方に伸びる道と書いて「迷う」と言う文字になる。
  しかし実際に迷っている人間は、そもそも道が八本もあることに気がついていない事が多い。

  考えても見ろ。地図が全部頭に入っていて迷う奴がいるか?
  迷う奴ってのはそもそも道自体が見えてないんだ。
  これは道だけでなく、人の行動や人生についても言えると僕は考えているんだが、君はどう思う?
  僕としては中々上手い事を言ったつもりなんだけれど」

 「地図のページを間違えた人間の言い訳にしちゃ上出来だ。取り合えず表に出ろこの野郎」

― ドライブに来た友人同士のたわいもない会話の一幕

No.05

 「そうだよ。

  でも、だからこそ、現実にしたいじゃない。

  ホントは、綺麗事がいいんだもん。」

― 2000の技を持つ男の持論

No.06

 それと世の中を見渡してみると本当に『強い』人っていうのは悪い事はしない事に気づく。

 「悪い事をする敵」というものは「心に弱さ」を持った人である、真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ。

― 唯の漫画家の持論

No.07

 立法者にしろ革命家にしろ、平等と自由とを同時に約束する者は、空想家か、さもなくば山師だ。

 …それは自由と言う事は、仕事をするのもしないのも自由だと言う事だから…

― でも、それを夢想する事にだって意味はあると信じたい

No.08

 「○○、この花瓶という文化について、私は些か感心できません。
  自分の勝手な都合で傷つけ、生殺にし、見世物にしている。そうでしょう?
  そう…言うなれば、これは晒し首に近い。
  まあ、美しいから飾る……という行為の意味を考えれば、この例えは適切とは言えないのでしょうけどね」

― その日から、そのペンションのテーブルには鉢植えが置かれている

No.09

 「見事な引き際だな」
 「隊長、追撃しますか?」
 「慌てるな、次も敵とは限らんだろう」

― 力が全ての世界で、力ではない何かで、人心を我ものとした傭兵の言葉

No.10

 「こないな時代やと人生は絶え間なく連続した問題集や。
  揃って複雑。選択肢は酷薄。加えて制限時間まである。
  一番最低なんは、夢みたいな解法待って何ひとつ選ばない事や。
  オロオロしてる間に全部おじゃん。一人も救えへん。

  ……選ばなアカンねや!!
  一人も殺せん奴に1人も救えるもんかい。
  ワシらは神さまと違うねん。万能やないだけ鬼にもならなアカン……」


 「………○○○…でもやっぱりそれは言葉だ。
  今そこで人が死のうとしてる。僕にはその方が重い」

― 可能性を信じて足掻かない限り、その道が切り開かれる事は無い
このエントリーをはてなブックマークに追加