フィーブル藩国の吏族は一般的に猫人たちが担当している。彼らは猫人たちのなかでもまじめで真面目で、頑張りやさんなので、とてもよく働いてくれる。
しかし記憶に新しいアウドムラとの戦闘によって疲弊した国力を復興させるため、政庁の仕事の量が格段に増えてしまった。結果、猫人たちだけでは吏族の仕事を処理しきれなくなっていた。
そんな猫人たちを見るに見かねて、吏族の仕事を手伝うと名乗りを挙げた者たちがいた。それは……我が国に住まう猫さんたちだった(笑)
されど猫たちを甘く見てはいけない。この国の猫の多くは「カイザー」の呼び名で知られる猫王パーカーを慕って、この国へ集った猫なのだ。彼らはその小さな体、に大きな誇りを抱いている。猫王パーカーのもと、団結した猫たちは猫とは思えないほどよく働く。
普段猫たちは、吏族として働く猫人たちのサポートとして働いている。フィーブル藩国の猫たちは総じて器用なので、書類の整理をしたり、はんこを押したり、中にはパソコンが使える猫だっている。全国民の3割を占める猫の視点からアドバイスをすることも重要な仕事である。
猫なだけに、気分屋で仕事の量にはむらがあるが、それでも猫人たちは大助かりである。
基本的には猫人たちのサポート役である猫たちだが、ときどき立場が逆転する。すなわち猫たちが上司となり、猫人たちに指示を出すことがあるのだ。
吏族に限らず、猫たちが人や猫人たちに指図するのは別段フィーブル藩国では珍しくない。猫たちはとても誇り高いし、仕事もできる。人や猫人よりもリーダーとしての素質を持つ者も多くいる。そもそも猫王のパーカー様が、幼いフィーブル王の親代わりとして、実質的にこの国を統治なさっておられるのだから無理も無い話しである。
政庁を訪れれば、今日も丸まった猫たちにこき使われる猫人たちの悲鳴が聞こえるかもしれない。
猫たちの政庁での役目は働くことでだけではない、その真価は休憩時間にある。
猫人たちのサポート役に徹した猫も、周囲の猫人をにゃーにゃー怒鳴り、働かせた猫も、ひとたび休憩時間になれば愛くるしい猫へと変貌する。同じく休憩時間になった猫人たちは、そんな猫たちとじゃれあい始める。うたたねする猫を抱きしめたり、猫じゃらしなどのおもちゃで一緒に遊んだりする。
そこには先ほどまでの上司、部下のような関係は存在しない。そのかわり猫と猫人という種族を超え、深い絆で結ばれた姿がそこにはある。
政庁で働いている人や猫人は、その愛くるしい光景を見て仕事で疲れた体を癒し、また再び仕事の山へと戻っていくのだ。
このように猫たちは政庁にとって無くてはならない存在なのである。人、猫、猫人、3つの種族がお互いに助け合う姿こそ、フィーブル藩国が世界に誇る真の宝なのかもしれない。
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